東京高等裁判所 昭和61年(ネ)3810号 判決
前記認定事実によると、控訴人と被控訴人間の本件土地売買契約において、売買代金一五五万一〇〇〇円の支払は、昭和四七年八月から同四八年一一月まで毎月一〇万円あて(ただし、最終回は五万一〇〇〇円)支払う約定であったところ、被控訴人は、昭和四七年八月から同年一〇月まで各月一〇万円、計三〇万円を支払ったものの、同年一一月ころ、支払に困り、控訴人に対し「暫らく支払ができない。」旨を申し出て支払猶予につき同人の了承を得たことが認められる。そして、≪証拠≫によると、被控訴人は当時防衛庁に勤務し、課長補佐の地位にあったこと、毎月の分割金が一〇万円であったこと、その他前記の経緯に照らすと、右支払猶予の申出は、当時弁済期の到来した昭和四七年一一月分につき次回の分割金支払期日までせいぜい一か月間猶予するといった一時的な支払猶予にすぎず、これにより以後の分割金全部の支払猶予を求める趣旨のものではなかったものと解するのが相当である。したがって、控訴人としては、昭和四七年一二月末日の経過により同年一一月分の支払請求が可能であったし、残余の未払分割金についても昭和四八年一月から同年一二月まで各末日ごとに順次弁済期が到来することになるから、その最終弁済期から一〇年を経過する昭和五八年一二月末日の経過をもって右売買代金全部につき消滅時効の完成をみることになる。
(舘 牧山 赤塚)